デンマークの介護現場の現実
介護とは、の理論を考える事は重要ですが、現実は1対1ではないので限られた時間でたくさんの人を介助しながらどれだけの事が出来るのか、が老人ホームで働く人の最大の課題なのです。でも誰もその集団生活内の改善方法を教えてくれる人いませんよね。日本にいた時もそうでしたが、デンマークでもそうです。
怒られてもいいから職員とコンタクトを取りたい人達、一杯います。なので緊急性もないのにコールをしたり、ハロー!と呼んでは何かと用事を言いつけます。
今日はその度合いが凄かったです。
AMさん、15時半にコール。トイレに行きたいと言う。最近では歩けない、と言ったら速攻リフト使用をする事にしました。歩けない人を支える事は出来ませんから。でもAMさん、自分で歩けるし本当は何でも出来るんです!甘えているだけ。かわいそうかもしれませんが、私たちはたくさんの重度入居者がいるユニットなので、本当は何でも出来るAMさんに30分使ってゆっくり介助をしながらお話する事は不可能。
コールがあったから訪ねたのに自分でトイレに向かって歩いていました。
『あ、歩けるのね。じゃ、自分でトイレ行って下さい。』
と言って去りました。
ひどいと思うかもしれませんが、私は経管栄養の入居者Hさんの担当でして、彼は一切何も出来ないので自分でトイレに行けるAMさんに時間を使ってHさんの介助の時間を減らす事は絶対に避けたいのです。
仲間のLが私の担当入居者Gさんのところに行ったのが15時半。最近またビールを飲み始めたGさん。ビールをくれとLに文句。仕方なくLはビールを渡したとの事。
『昼間っからか?!いつも夕食後ならいいって言ってるのに…。』
『せっかく断酒して数ヶ月経ったのに何でまた急に…。でも本人がどうしてもって言うならどうしようもないからね。』
と言う会話をした矢先、またGさんが叫んでいる。←車椅子だが精神病なだけ。頭も手も口も動く。
あまりにもうるさい。だいたい大した用じゃないし、17時に薬で訪ねるのに、2時間の間に何度もコンタクトを取ろうとする。
『17時までに待てない程の用事なのか?』
とドアのところに立って言うと、こっち来てーと甘える。黙ってドアのところに立ってると、窓を差して風が入り過ぎ。カーテンが舞っていると言ったので、
『窓閉めたら今度は開けろって言うでしょ?17時まで待ちなさい!』
と言って去る。その後も何度も叫んでいたけど、Lと2人で17時まで行かない事にした。というか、行く暇もないくらい忙しい。今一人肺炎で寝たきりでして、娘さんが毎日来ては話をし、こうして欲しい等の要望などがあり、その都度対応をしていると時間がなくなり、バタバタなんです。
Gさん、今度は足が痛いと言う。車椅子が新しくなり、足の位置がイマイチらしい。角度を変えて足の高さを上げる事も出来るのだが、これは高い、これは引く過ぎと言うので、
『1が一番低くて2が次。3が高過ぎなら2にしましょう。』
と言って納得したはずなのに、また叫んでいる。今度は2だと高いから1にしろと。1にするとやっぱり低い、2は高いと言い出し、さすがに、
『1と2の間はないんだからどちらか選ぶしかない。』
と言ってやっぱり2にしたまま退散。さらに叫んでいる。私がAMさんの介助に言っている間にLがGさんと話をすると、
『Gさんもう寝るって言うからいい加減にしろ!って言ったよ。だって19時15分だよ?』
と言っていた……。どうしたんだ?Gさん。私が行くと、
『あーー!!Helgaーーー!もう足痛いー!寝るー!!便も出るーーー!』←便が出る発言は毎晩の事でいつも空振り。
と言うので冷静に、
『Gさんはいつも20時頃に就寝介助でしょ?薬もその時間じゃないと投薬出来ないし、これから就寝するべき人達がまだ終わっていない。Gさんの都合で他の人を後回しに出来ないから、20時頃来るから。』
と言うと、Gさんは時計を見て、わかった、と言った。Gさんは天井型リフト使用で重いので、1回のトイレもつり上げてポータブルなので時間がかかる。今日は便が出る発言を早番時に何度も繰り返し、何と3回も座ったのに一切なかったと早番が嘆いていた。
しかしGさんの就寝介助をした時に何と下痢便ーーーー!!!!天井リフトでつり上げ、おむつを取った瞬間どどどどどーーー!とポータブルに落ちた!
手や足に落ちなくて良かった。(^^;;;
Lに『何で急に下痢便?ビール飲み始めたからか?』
と言うと、それだ!と言うのだが、そんな事でGさんは酒を止めないだろうよ。アル中に戻るのだけは勘弁して欲しい。
AMさんも凄いがGさんも凄い。状況を分かっているところがさらに悪い。認知症で理解度がない人に介助をしていると、AMさん的には、
『あの人はあんなに手厚い介助を受けられるのに私は全然。みんな自分で出来るから自分でやれって私に言う。でも他の人だって出来ない演技をしているだけでずるい。』
と思っている。あまりにもひどい時はみんな無視するか去るか怒るかだが、私は思わず、
『あの人は本当に出来ないから介助を受けているんだよ。あなたは何も出来ない状態の人が羨ましいの?そうなりたいの?自分で出来る事がたくさんあるのに嬉しくないの?』
と突っ込んだら、そうよね〜、でも〜〜!!な発言でした。(^^;;;
高齢になって出来る事が出来なくなると、精神的に子供に戻る人がいます。(全員ではない。)周囲に焼きもちをやいて、相手の気を引こうとしたり、自分を優先して欲しいという態度が出て来ます。そしてその時間を得たら、その人を離そうとしない。
幼稚園で子供が先生に振り向いて欲しいとか、兄弟/姉妹に焼きもち焼いて親に怒られるような事をしたりとか、みんな経験ある事だけど、老人ホームに入るとそんな大人達が職員を取り合いするようになるのです。
でもそういう人は認知症ではないのです。みんな分かっていて計算してやっている。AMさんのように自分で出来るのに、彼女こそ演技(というか出来ないと言ってやらない)したり、手伝ってと言いつついざ手を貸すとそうじゃない、こうだと言って自分でやってしまい、やっぱり出来たわ、見てた?みたいな人は老人ホームじゃなくてもいいでしょ?と思ってしまいます。
私的には、重度認知症の介護の方がずっと楽だと思う。
あとデンマークはもともと自分の事は自分で、という自己責任の国な事もあり、どんなに出来なくなっても介助拒否をする人もいる。便まみれで助けてーと言っても、いざ介助の時には大声で叫び殴り噛み付く。
そんな中、今一人肺炎で毎日40℃近い熱ですから…。おかげで毎日残業です。とにかく仕事が終わらない…。
(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)
by Helgashjemdk | 2014-07-27 09:09 | 仕事 | Comments(0)