戦場のメリークリスマスをもう一度観た
小学生時代から映画館に行き、中学生から映画館で映画を観る楽しみを覚えました。そんな私が今まで観た映画で一番と言えるのが、1983年の"戦場のメリークリスマス"です。
映画そのものですが、戦争映画でありながら戦争シーンが一つもなく、おまけに女性が1人も出て来ない。同性愛的でも性的なシーンもない。セリフと表情だけでストーリーが完成されている映画です。
実は私、初めて観た時、カネモト(ジョニー大倉)がオランダ兵デ・ヨンに何をしたのか、はっきり理解出来ていませんでした。(笑)3回目で理解しました。(^^;;;
メインの3人が俳優ではないところが挑戦でもあり大島渚監督らしいです。教授もたけしも演技下手と言われていましたが、教授はセリフが棒読み的なだけで表情は結構上手かったですよ。たけしに関しては演技下手と言っている人の感覚が理解出来ませんでした。だって凄く自然で全然演技しているって感じではなかった。それは逆に上手く役になり切れているって事だと思っていたからです。
軍律会議中、ヨノイ大尉(坂本龍一)がセリアズ(David Bowie)に惹かれるところがとても上手かった。あれは誰もがセリアズに惹かれるように上手く映像で工夫されていたと思います。セリアズの会話の仕方、"My past is my business(私の過去は私のもの)"と言い切るところ、服を脱いで背中を見せるところ。凄くセクシーです。また音楽が良かった…。その音楽と共にヨノイがセリアズに魅了されていく。あのシーンはパーフェクトです!
また、ハラ軍曹(たけし)とローレンス(トム・コンティ)の関係も良かったです。『どうしてお前は死なないんだ?』と聞くハラに『私達は恥だと思わない。生きたいし、戦いたい。』と言うローレンス。あえて死を選ぶ日本人に対し、最後まで生きる事を選ぶイギリス人。そんな2人もまた人として惹かれ合っている。
Bowieは本当に美しい!!!完璧でしたよ!中学生の私にはちょっと若いお父さんくらいの年齢の差ですけど、大人の男性として本気で惹かれました。まして顔にマッチしていないあの低音の声。😍
セリアズが埋められたところにヨノイがやって来て髪を切る。何も言わずにただ眺めて敬礼し去って行く。そしてセリアズが死ぬ。戦争の場で、人間の心を失っていく中でセリアズは『心』を失わなずに最後まで生き抜いた戦士。その心をヨノイは受け継いだ事でしょう。
『あのクリスマスの日を覚えていますか?』とハラ軍曹。酔っぱらった勢いでローレンスとセリアズを釈放した日。そして自分をファーザー・クリスマスだと言う。ハラ軍曹の、正直に言葉で言えない感情が溢れていた。
最後の最後、ローレンスを呼び止め、『メリー・クリスマス。メリー・クリスマス、ミスター・ローレンス。』と言う。それがこのシーン。
私は一番最初に観た時、ハラ軍曹が死ぬ日がクリスマスなのかと思っていました。←まだ中学生だったから。
そうじゃなくてあのクリスマスの日、自分がサンタ・クロースになってローレンスを助けたから、最後に自分の気持ちをこの言葉で表しただけでしょう。
素晴らしいクリスマスだったと振り返る2人の思い出の日、今度はローレンスがファーザー・クリスマスになってハラを助ける事が出来たら…。でもそれは決して無理だとわかっていながら、"I'm ready to die"(死ぬ覚悟は出来ている)と言ったけど、それでもローレンスに、最後に言いたかったセリフはこれだったのだと思います。クリスマスを祝う意味ではないとわかっているけど、笑顔で涙を浮かべるハラ軍曹を観て涙が出ない人はいないでしょう。
現在2016年です。既に33年前の映画です。今観ても全く古さがなく映像も完璧。そして私にとってはこの映画を超える映画はもう一生出会えないと思っています。いや、いいんです。中学生の私がこの映画を自分の人生で一番と選び、その結果全くぶれていないのだから!
そして今観てもやっぱり涙が出ます…。
ちなみにこの映画で唯一Bowieの演技が下手だなーと思うところは、歌うところです。Bowieを知っているから、わざと音痴で歌うところ。ちょっと外し過ぎだろ?と思っちゃいました。(笑)わざと音程外すのも難しいでしょうね。(^^;;;
残念ながらこの映画にメイキングがないんですね。Bowieが嫌がったという話でしたけど実際どうなんでしょう。確かにメイキングがあると映画の良さが半減しますけど、戦メリはこぼれ話も少ないので今なら話せる事として知りたい程です。←語ってくれる人がたけしと教授しかいないけど。😭
by Helgashjemdk | 2016-01-19 11:30 | 映画 / TVドラマ | Comments(4)
ビートたけしの最後のアップ、明石家さんまは大笑いしたって言うけど、自分は素晴らしい笑顔、演技だったと思います。
内田裕也、ジョニー大倉、戸浦六宏、内藤剛志(めっちゃ若い!)、金田龍之介、、、脇に錚々たるメンバーで、今見ても、本当に凄い。
坂本龍一の棒読みセリフだけは今見てもダメかな(^◇^;)何せ、セリフ覚えてこなかったって言うし。
音楽は不朽。ワイングラスのサンプリング。
今年もMerry Christmas.
大島渚監督が坂本くんはそれでいいって言ったのだからあれでいいんですよ。(笑)これだけ大物の中で演技ど素人が参加したのだから下手さが倍増ですけど、私は大ファンなのでちょっとしたところに良さを見出して感動してました。(笑)でも教授のセリフには英語にも日本語にも字幕必要ですね。(爆)