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介護とは

http://www.asahi.com/articles/ASHBF65D9HBFULZU00W.html?ref=mixi

この記事を読んでどこの現場も同じだと思いました。デンマークは福祉先進国だからきっちりしているだろうと思われがちですが、私の住む南デンマークは福祉分野に関して年々削減になっていますから、本当に細かいところまで行き届きません。

各ユニットには12人の入居者さんがいて、早番が6人、遅番4人、キッチン担当1人、掃除担当が1人です。ただこれは所属人数でして、実際は出勤する人は早番が3〜4人、遅番1〜2人、キッチンと掃除は週末休みです。

早番は7〜8時出勤、13時または15時まで勤務。13時から2人で仕事という事になっていますが、欠勤者がいた時などは1人の時もあります。

遅番(15時〜23時)は2人でしたが、節約の為、1人で仕事する時間もあります。日によって1〜3時間1人で仕事です。

同じユニットの仲間でも仕事が遅い人、さっさと入居者さんを寝かせたい人、きっちり仕事をしたい人、みんなバラバラです。チームワークが大切だし、話し合う事も大切ですが、自分の意志だけ突き通してしまう人も中にはいます。なので介助が上手く出来ない事もあります。人数不足だけの問題ではありません。

この記事にある、便がついたままの服や居室ですが、そのような事は時々あります。

自分でトイレに行って粗相をする人。居室中便だらけになり仕事を中断して掃除に30分かけた事もあります。その間コールが鳴っても行けません。介助希望の人から見たら『放置』になります。

いくら30分掃除をしてもあちこちに便がついていて、全部発見出来ない事もあります。後から見つけた時にはこびりついて普通の掃除では取れない事もあります。そしてそれを勤務時間内に2回やられると、次の掃除に30分もかけられません。それが食事の時間だったり、他の人の介助が残っていると、残念ながら後回しになります。

水分補給についてですが、自分でグラスを持てる人は自分で摂取出来る人。高齢者は失禁やトイレに行く事の不安があるので、水分を取りたがらない人もいます。口を開けて飲ませる事は出来ません。拒否されたらまず話し合い。こういう介護は理想ですが、それに何十分もかけていては他の人は『放置』になります。

『放置』ではないにしても、私達は話し相手の時間は取れないので、ある程度のところで切り上げるテクニックは持っています。でも認知症や孤独、妄想等で職員を延々と縛り付けようとする人がいます。とても声が小さくて何度も聞き返さなければいけない人、ベッドに入ってから話す人、トイレ介助中に話に夢中になり排泄をせずつなぎ止める人などいますが、こういう入居者さん達に親身に付き合っていると他の人の介助が出来ません。

日本は勿論ですけど、デンマークだって1人の入居者さんに話し相手で30分使う事は無理です。

デンマークでは入居者さんにリフトを使う事があります。中にはポータブルトイレに座るのもリフト、そこからベッドへ移動、口腔ケア、排泄介助、着脱介助等全部含めると1人に20〜30分かかる事もあります。出来る事はなるべく自分でしてもらうので、時間がかかるのです。

100%介助の人はある意味早く終わります。こちらのペースで介助出来る為です。

パーキンソンの人の誘導は根気が必要です。とても時間がかかります。椅子から立ち上がってトイレに行く距離、私達が5秒で行ける程度の距離に2〜3分かかる事もあります。

少ない人数で仕事をしていますから、職員は優先順位を考えて動くしかありません。コールの内容が緊急でない場合は、今やるべき事を優先する事もあります。

例えば、

嘔吐 ←これは排尿や排便より優先。喉に詰まったら死に至るから。

誤嚥 ←呼吸出来ない状態になる前に対応。

経管栄養 ←時間が決まっているので守る事が必須。

転倒 ←看護師や救急車が必要な状態か確認して問題なければゆっくり対応。もう転倒しているからこれ以上悪い事はないという意味で。

脱出 ←他の入居者にはどうでもいい事でしょうけど、職場内では大問題です。全ユニットで対応になります。

急変 ←当然の事。

それ以外に予想がつかない入居者さんの不穏、妄想、暴言、暴力により止めに入る事もあります。落ち着かせるために時間がかかったり、他の入居者へ悪影響を与える時など、最悪2人対応で抑えなければいけない時もあります。

ユニットにもよりますが、私のユニットは2日同じ状況という日はありません。臨機応変でいる事が必須です。

給料はとても低いですよね、介護職。私は運が良かったのか東京だったからなのか、給料は20万円超えていました。でもブラックだったので、タイムカードは手書きで絶対残業は書くなと言われていたし、夜勤は18時間だったし事務仕事(ケアプラン作成等)は一切手当なしでした。夜勤中にやれと言われました…。←眠いって!

今はデンマークですし、公務員扱いですから時間も決まっているし給料も安定しています。一般職よりは低いと思いますが、私は満足です。たとえ仕事が忙しくてもストレスたまっても公休や休暇がありますし。

日本の場合は返って来るものがないですよね。休暇なんてないし、私生活も安定させられないし、忙しいだけです。人数不足はどこの国でも同じです。

でも一番の問題は、近年認知症が増えて、昔と状況が違う事を国が理解していない事じゃないでしょうか?認知症なのか、精神病なのか、鬱病なのか、色々症状が違うのに、全部一緒になっている事が多いです。専門的な場を設けず色々な入居者達が同じ場所で生活しているので、ある程度自分で自分の事が出来る人達は『損』をしているとしか言えません。

在宅でもう介護は出来ないという人が施設に入って来ると思います。しかし現場では数人でたくさんの人を介護するので、家族が希望するような手厚い介護は不可能です。家族が1対1でやっていた事に対する時間配分は10分の1に減るかもしれません。

介護職の人達は仕事として現場にいますので、やはりその日その日こなすだけで精一杯です。大変な仕事ですし時々うんざりするけど、やっぱり仕事が好きだから頑張っている人達ばかりが介護士として現場で活躍しているのだと思っています。

みんな明日も頑張ろう!←でも私は今休み…。頑張ってる人達ごめんなさい。(^^;;;

by Helgashjemdk | 2015-11-19 03:48 | 仕事 | Comments(0)